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有名芸能事務所で行っている不要不急の外出で懲戒は正しいのか?

2020.08.27

コロナ渦の中では、政府や自治体より不要不急の外出を控えるようにお願いが出されています。
あくまでも「お願い」なので外出をする人もいるでしょうし、どこまでが「不要不急」に値するのか判断には個人差が出てしまいます。
そして、有名芸能事務所では不要不急の外出をした社員が懲戒処分になるケースがあると言われています。
果たして、懲戒処分は正しい対応なのでしょうか?

懲戒処分とはどういった場合に科されるのか?

懲戒処分とは、会社側が従業員に対して科す制裁措置です。
会社の規定に違反した場合や、秩序を乱すような行為を行った場合、会社に不利益をもたらすような行動をおこなった場合に懲戒処分として扱われることが多いです。
懲戒処分は減給や降格といったペナルティだけではなく、重い制裁としては解雇になる場合もあります。
ただし、懲戒処分を下すには、就業規則の中に当該処分の根拠になる規定がなければなりません。

不要不急の外出は懲戒処分に値するのか?

政府や自治体から不要不急の依頼が出ていますが、外出してしまった場合に会社より懲戒処分を受けることは正しいのでしょうか?
会社は従業員の就業時間外の私生活上の行為においても一定の場合には介入することができ、懲戒処分を下すことも可能です。
そのため、コロナ渦において会社が従業員に対して不要不急の外出や旅行、帰省などを控えるように求めることも社会的責任のある立場において当然とも言えます。
そして、この依頼を無視した従業員に対して処分を行うことも可能ですが、最も軽い注意などにとどめるべきでしょう。
あくまでも懲戒処分を科す場合には、就業規則に定められる懲戒事由に該当する場合でなければなりません。

不要不急の外出に関して会社はどこまで介入できるのか?

政府や自治体からの不要不急の外出を控えるよう依頼されたことに対して、会社はある程度の介入を従業員に行うことは可能です。
緊急事態宣言の対象区域内で三密になるような場所に行くことや、対象区域への異動を禁止することは正当化される可能性があります。
しかし、生活に必要なものの買い出し以外での外出や、会社や家族以外の人との接触禁止といった過度の業務命令は許されるものではありません。
そして、この業務命令に背いて懲戒処分されるのであれば、不当な処分であると言えます。

新型コロナが感染拡大しないようにそれぞれが注意を払って仕事や生活を行う必要がありますが、不要不急の外出をしたからといって会社より懲戒処分にされることは不当であると言えます。
もし懲戒処分や解雇に不当性があると感じる場合には、弁護士や労働監督署へご相談ください。