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逆走や信号無視しないと間に合わない・・・中国の過酷料理配達員

2020.10.03

新型コロナウイルスの影響による外出自粛により、Uber Eatsなど飲食店から料理を配達員が受け取り配送するサービスが広まっています。
日本でも料理配達員の問題が取り上げられていますが、中国では迷走や信号無視など交通違反をする料理配達員が多発している状況です。
この背景には、料理配達員の過酷な労働環境が隠れています。
中国における料理配達員の労働環境や、今後日本でも改善すべき点について解説していきます。

中国における料理宅配と配達員の実状

中国ではスマホ決済の浸透によって料理宅配が急速に普及し、料理配達員は約700万人もいるといいます。
その料理宅配をサービスとする会社は「美団点評」と「餓了麽」という2つの企業で主に成り立っており、2社がサービス向上を競っています。
これにより、3年間で平均配送時間は10分も短縮されているのです。
しかし、この裏側では配達員が2・5日に1人のペースで死傷し、2018年の7か月間では約1万件の交通違反と死傷者155人が出たと発表されています。

料理配達員の過酷な労働環境

中国の料理配達員の間でこれほど多くの交通違反や死傷者が出てしまっている理由は、配達員の評価システムにあります。
注文が入れば衛星利用測位システムによって配送先までの短縮ルートが検出されますが、配達予定時間を過ぎると報酬から罰金されるという仕組みになっています。
そのため、逆走や信号無視など交通違反を行い、配達予定時間に過ぎないように間に合わせているのです。
それに加え、配達員は稼ぎを増やすためには配達を何件もこなす必要があるため、1軒でも多く配達しなければならないというシステムも労働環境を劣悪にしている原因でしょう。

日本でも早急に労働環境を整えるべき

日本では新型コロナウイルスの影響で料理配達員が急増していますが、中国と同様に件数をこなすほど稼ぐことができるシステムです。
罰金制度まではなくても、早急に配達員の労働環境を整備しなければ同様の問題が日本でも起こり得ると考えられます。
既に交通安全に関わる問題も取り上げられていますが、今後は更に宅配料理の需要が高まることで交通違反などの問題も増えると予想されます。

宅配料理は私たちの生活を豊かにしてくれるサービスですが、その裏では料理配達員が過酷な労働環境で働いていることや労働環境をこれから整えていくべきであることを知っておかなければなりません。
労働環境におけるトラブルや不安がある場合には、ユニオンや弁護士にご相談ください。