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有名寿司店「紀尾井久兵衛」のタトゥー社員の解雇は違法?

2020.10.05

ホテルニューオータニに入る有名すし店である「紀尾井九兵衛」において、板前補佐をしていた社員が体にタトゥーがあるという情報を受けて解雇されたという事件がありました。
解雇された男性は不当解雇を訴えており、損害賠償と係争中の賃金支払いを求める労働審判を申立てています。
タトゥーが理由で解雇されたことは違法になるのでしょうか?

紀尾井九兵衛タトゥー解雇事件の経緯

有名寿司店である紀尾井九兵衛で働く板前補佐の男性は、来店した友人にタトゥーが入っていることを寿司店の店長に示唆しました。
すると、紀尾井九兵衛の社長は2日に事実確認をしないまま男性を解雇し、男性が住んでいた寮の退去も求めたのです。
解雇された男性は代理人と協議し、解雇は撤回されたもののタトゥーが入っている間は調理準備の仕事しかできない旨を告げられています。

タトゥーが原因の解雇は不当解雇の可能性がある

解雇された男性の代理人が就業規則でタトゥーは禁じられていないことを公表していることから、タトゥーをしていることは就業規則違反であるとは言えません。
つまり、タトゥーは解雇理由として認められないのです。
しかも、タトゥーがあるという情報のみで解雇されていますが、そもそもタトゥーがあるのかどうか事実確認も行われていない状態での解雇だったそうです。
解雇するには正当な理由や手続きが必要にもかかわらず、どちらも満たしていない状態で解雇が行われたと言えます。

解雇は簡単なものではない

使用者が労働者を解雇するには、「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」の3種類があります。
しかし、どの解雇に関しても厳しい条件が設けられているため、簡単に解雇は出来ないようになっています。
しかも、普通解雇であれば30日前からの解雇予告もしくは解雇予告手当が必要になりますし、懲戒解雇であれば即時解雇もありえるものの労働契約法に基づき「客観的合理性と社会的相当性」が必要になります。
タトゥーが原因で解雇された男性はどの解雇にも当てはまらなければ、手続きも正当に行われていないことから不当解雇を訴えているのです。

解雇されたものの解雇に納得できないというようなケースはよくあることです。
適正な理由であり、正当に手続きが行われていなければ不当解雇である可能性があります。
解雇理由や解雇手続きに関して疑問やトラブルがある場合には、専門家である弁護士に相談してみください。