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帝京長岡高校が労働組合員の教員を不当解雇

2020.10.06

帝京長岡高校で労働組合員の教員が不当解雇を受けたという事件はご存じでしょうか?
帝京長岡高校で教員を務めていた男性が、教職員労働組合に加入した後で学校側より解雇されたというものです。
学校側は元教員が生徒に不適切な発言をしたことを原因に普通解雇したと主張していますが、裁判所は解雇無効を決定しました。
この事件の概要や、不当解雇として認められた理由など詳しく解説してきます。

労働組合員に加入したことが解雇原因になる?!

帝京長岡高校で解雇された元教員は、教職員労働組合に加入したことで不当解雇されたという訴えを起こした事件があります。
使用者側が、組合員を排除したいと考えて解雇したと考えて訴えを起こしたのです。
労働組合に加入するか否かは労働者の自由であり、労働組合に加入したことを理由に解雇することは労働組合法に定められる「団結権等の保障を内容とする公序の違反」として無効扱いになります。

学校側の解雇理由は「普通解雇」

帝京長岡高校で解雇された元教員は、学校側からは「職務に必要な適格性を欠く」として普通解雇を受けています。
生徒に対しての不適切な発言が繰り返されていたことを理由に「職務に必要な適格性を欠く」と主張したのです。
しかし、実際には事実と異なる点も多いことから、裁判において解雇権の濫用が認められたのです。
解雇権の濫用とは、使用者が労働者を解雇するには合理的かつ社会一般的に相当だと認められなければ権利を乱用しているとして解雇を無効にするものです。
つまり、学校側が主張する解雇理由は適正ではなく、権利を濫用していると判断されたのです。

普通解雇するには厳しい条件を満たさなければならない

解雇には懲戒解雇や整理解雇などもあるが、普通解雇においては厳しい条件を満たさなければ解雇は認められないものです。
普通解雇を行うには、「客観的な合理性」と「社会的相当性」な理由がなければなりません。
もし客観的な合理性や社会的相当性を欠く場合には、権利の濫用であると判断されます。
また、労働組合であることを原因に解雇するなど解雇事由が法令に反していてもいけません。
しかも解雇手続きは労働基準法に定められた適切な手続きを行う必要があるなど厳しい条件があります。

労働組合に加入したことで解雇されることは不当であり、そのことを理由とはせずに他の理由をこじつける行為は解雇権の濫用になります。
もし労働組合に加入したことがきっかけで解雇にあった場合や、解雇理由に疑問があるという場合には弁護士に相談してみましょう。