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「逮捕をされたから即解雇」は実はNGだって知っていました?

2020.10.28

社員が不祥事を起こしたことで解雇をしたというニュースを見かけますが、不祥事や逮捕によって社員が解雇されるということは当たり前のことではありません。
解雇されるだけのことをしたのであろうという認識があるかもしれませんが、解雇は正しい手順を取らなければ不当な解雇として解雇無効になってしまうのです。
そこで、逮捕された場合の解雇の考え方や、実際にあった逮捕によって解雇された社員の解雇撤回例など紹介していきます。

逮捕されても即解雇はできない?!

社員が逮捕された場合、逮捕理由が勤務時間外の私生活における行為であれば会社と関係のないこととされます。
しかし、逮捕事実は会社の社会的な評判を下げることになることが予想されるため、就業規則において懲戒解雇事由として「犯罪行為をした場合」が記載されている会社が多くなっています。
そのため、逮捕理由が会社と関係のない場合でも解雇になる可能性はあるのです。
ただし、逮捕されてすぐに解雇することは出来ません。
有罪判決や犯罪行為が認められるなど根拠を持って懲戒事由に該当すると判断できるまでは処分でいないのです。

逮捕が理由で解雇するにも正しい手順が必要

懲戒事由に該当すると判断された場合であっても、解雇するには犯罪行為が企業の秩序を著しく乱した場合でなければ解雇は有効と言えません。
業務と逮捕が関係ないものであり、会社への大きい影響がない場合や、解雇するほどの事情ではないような場合には減給や降格など懲戒処分が妥当である可能性も考えられます。
懲戒解雇は最も重い処分になるため、慎重な検討が必要なのです。

逮捕された社員の解雇が撤回された実例

実際に逮捕された社員を解雇したものの、会社に撤回するように命令が出されたような例もあります。
逮捕された翌日に組合が求めた団体交渉に応じることなく逮捕社員が懲戒解雇され、十分な弁明を与える機会や懲戒解雇が妥当か検討する確認も行わずに解雇が行われたのです。
そのため、逮捕後の解雇は不当労働行為にあたると認定されたのです。

逮捕されれば解雇されるのは当然だと考えがちですが、逮捕理由や会社に与える影響によって解雇が妥当であるかどうか慎重に検討する必要があります。
そして、解雇する場合にも正しく手順を踏んで解雇は行われなければなりません。
会社側も従業員側も解雇に関する正しい知識を持つことが大切です。
不当な解雇が行われないように問題が生じた場合には労働組合や弁護士に相談してみてください。