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年度末に雇い止め増加か? そうなる前に準備しておくべきことは

2021.03.15

新型コロナウイルスの影響により、2月末の時点ですでに解雇や雇い止めは9万人を超えていることが明らかになっています。
そして、まだまだコロナの影響が続く中で、年度末を前にして解雇や雇い止めが増加することが懸念されているのです。
いつ自分が雇い止めにあうか分からないと不安に考えるだけではなく、予めできることは前もって準備しておきましょう。

雇い止めは簡単に行えるものではない

雇い止めとは契約期間が満了時に契約更新されないことを指し、新型コロナウイルスの影響を受けて契約社員などの有期労働契約を行う従業員は、多くの方が雇い止めにあっています。
ニュースなどでもよく耳にするようになった「雇い止め」ですが、実際に雇い止めは簡単に行えるものではありません。
雇い止め法理と呼ばれる雇い止めを制限するルールが定められており、ルールに反した雇い止めは違法になります。

雇い止め法理とは

不当な雇い止めにあわないようにするためには、雇い止め法理について知っておく必要があります。
雇い止め法理が適用されるには「実質無期タイプ」と「期待保護タイプ」の2種類があります。

・実質無期タイプ
契約上は有期労働契約だが、実質的には雇用期間の定めのない従業員と同様の扱いを受けている場合
・期待保護タイプ
雇用期間の定めのない従業員と同視できないものの、今後も契約が継続するものと従業員が期待し、その期待が合理的である場合

このような場合には客観的・合理的な理由に欠け、社会通念上の相当性が認められないと判断されて雇い止めは出来ません。

雇い止めは正しい手順で行わなければならない

雇い止めにも正規の手続きが必要であり、厚生労働省より「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」が公表されています。
使用者は有期契約労働者に対して契約の締結時に更新の有無を明示しなければならず、更新する場合があるのであれば判断基準も明示しなければなりません。
また、有期労働契約が3回以上更新されている場合や、1年を超えて継続して雇用されている場合には契約解除の30日前までに雇い止めの予告をする必要があります。
こうした手続きがきちんと行われているのか、従業員側も検証が必要です。

この先もコロナの影響で雇い止めは増加することが予想される中で、自分の身を守れるすべを従業員も知っておくべきです。
もし不当解雇や雇い止めの手続きに疑問を感じるようなことがある場合には、専門家である弁護士に相談しましょう。