過去掲載記事

副業をしているときの怪我、労災保険はどうなるのか?

2021.03.29

働き方改革によって副業や兼業が促進され、副業を認める企業も増加しています。
そのため、ダブルワークを始める準備をしている方も少なくありません。
しかし、副業を始めるにあたって労災保険はどのような扱いになるのか気になると考える方も多いでしょう。
副業中に病気やケガをした場合、休業補償などはどのような扱いになるのでしょうか?

労災保険とは

仕事をしていると、仕事中や通勤中に病気やケガをするようなことがあるでしょう。
そういった場合には、社会保険でケガや病気の治療を行うのではなく、労災保険を利用することができます。
労災保険は労働者やその遺族を守るための保険で、労働者が仕事中や通勤中にケガや病気、障害、死亡した場合に保険給付を行う制度です。
一人でも従業員を雇う場合に使用者は労災穂円に加入する義務を負い、正社員だけではなくパートやアルバイトも一定の条件を満たしていれば利用できます。

副業中のケガや病気の労災保険の扱いはどうなるのか?

これまでは副業をしている場合、副業でケガや病気をすれば休業補償は副業の給与額だけをもとに計算されていました。
そうすると、副業の分だけしか給付されないためケガや病気が本業に支障を与えるようなことがあっても労災保険でカバーすることが出来ない状況だったのです。
しかし、2020年9月に労災保険法が改正され、本業と副業の給与額が合算して休業補償が算出されるようになりました。
これにより、副業中でも安心して仕事をすることができるような環境が整いつつあると言えます。

合算した労働時間が労災認定の基準になる

労災保険法の改正により変更された点は休業補償の算出方法だけではありません。
本業と副業の労働時間も合算して残業時間が算出されるようになりました。
労災認定の基準では、時間外労働が100時間を超えるような場合に長時間労働と健康被害の因果関係が認められます。
これまでは副業による過重労働の危険性が高いと考えられながらも、残業時間については個別に扱われていたので労災認定が難しいものとされていました。
しかし、法改正によって本業と副業の残業時間が合算して考えられるようになったため、労災認定の範囲が広がったと言えます。

働き方改革によって副業を安心して行える環境が整いつつあります。
しかし、ダブルワークでも休業補償されるからといって働きすぎて体を壊してしまえば元も子もありません。
副業を行う場合には健康や労働時間に注意しながら働きましょう。
もし労災保険を利用するようなことが起こったものの、本業もしくは副業で労災保険が適用されないというような問題が起こった場合には、弁護士にご相談ください。