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2021年4月からスタート「同一労働同一賃金」

2021.04.02

日本には正社員だけではなく、非正規雇用で働く人がたくさんいます。
そして、これまで非正規雇用と正社員では待遇に格差があることが問題とされていました。
しかし、「同一労働同一賃金」が2021年4月からは本格導入されることになり、待遇の格差の改善が期待されています。
そこで今回は、同一労働同一賃金について解説してきます。

同一労働同一賃金が本格スタート

現在日本では派遣社員やパート、アルバイトといった非正規雇用で働く人が増加傾向にあり、総務省の労働力調査によると労働人口全体の37%を占めています。
そして、厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査では、正社員の賃金を100とした場合に、正社員以外の賃金は64.9であることが分かっています。
つまり、労働人口が約4割も占めている中で、雇用形態間での賃金にも約4割もの格差があるのです。
こうした背景の中で去年から大企業では先行して「同一労働同一賃金」が導入され、2021年4月からは中小企業でも適用されるようになりました。

同一労働同一賃金の内容とは?

同一労働同一賃金とは、正規雇用者(正社員)と非正規雇用の間で賃金や待遇に関する格差をなくす目的で導入されています。
同じ企業で同じ労働環境で働いているものの雇用形態が異なるというだけで待遇などに差別的な取り扱いがあってはならないという考えの取り組みです。
そのため、仕事内容や仕事量が同じであれば労働形態に関係なく基本給やボーナスなどを同じ額を支払う必要があります。
また、福利厚生施設などの利用に関しても同様の条件にする必要があります。
また、仕事内容などに違いがあることで賃金などの条件に差をつける場合には、企業は従業員に対して理由を説明する義務も生じます。

違反するとどうなるのか?

同一労働同一賃金のルールはガイドラインによって策定されていますが、実際にこのルールに違反して不合理な待遇を行った場合には企業に対して罰則があるわけではありません。
しかし、被害者である従業員により損害賠償請求を受ける可能性があります。
これまでも待遇の格差における訴えは多くの裁判が起こされており、格差を不合理とした判例も多数あります。
そのため、不合理な待遇を受けていると感じている場合には弁護士に相談することをおすすめします。

同一労働同一賃金が本格的に導入されることにより、非正規雇用者も正規雇用者と同様の労働環境や条件であれば待遇の差別が改善されることが期待できます。
しかし、企業によっては改善がなかなか見込めないこともあるでしょう。
そういった場合には一人で悩みを抱え込まず、専門家である弁護士などに相談してみましょう。