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トイレの回数まで監視をする会社はパワハラ企業の言い訳とは

2021.04.22

近年パワハラへの関心が高まっており、2020年6月から施行されたパワハラ防止法が中小企業でも2022年から施行されます。
このパワハラ予防法でパワハラが減少することが期待されますが、過去にはトイレの回数まで監視されたという女性社員が労働審判を申立てたという事例があります。
トイレの回数も監視したことを会社側は労務管理と主張しましたが、その主張は通るものなのでしょうか?
この事例を基にしてパワハラについて考えていきましょう。

トイレの回数など行動全てが監視されていた社員

ある薬品販売会社で事務員として働いた女性が、行動全てを監視された末に解雇されて労働審判を起こしたという事例があります。
事の発端はサービス残業に女性が抗議をしたことで、同僚との関係が悪化して職場ぐるみの嫌がらせが始まったそうです。
そして、女性のトイレ時間や回数など職場での行動が分刻みで記された週報が作成され、支点や本社に共有されていました。
しかも、終業後の行動や電話の通話先などプライベートを探るような記述もあったそうです。

監視に対する会社側の言い訳は「労務管理」

解雇通知書を受けた女性社員が解雇の有効性を確認するための労働審判を申立てたことで会社の異常な監視が明るみになりましたが、会社側は「労務管理上、必要かつ妥当だった」と主張しています。
職場での女性社員の就労態度に対する苦情があったので指導を試みたが、改善されないため報告をさせていたというのです。
しかし、トイレの計測表を社内で共有していた点に関しては問題があったことを認めています。

行動をすべて監視する行為はパワハラになる

厚生労働省の報告書によるとパワハラは、「職務上の地位など優位性を背景に、適正範囲を超え、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為」とされています。
パワハラの線引きは難しいと言われていますが、トイレなどの行動全てが監視することは業務に必要は範囲を超えていると言え、パワハラ行為であると言えるでしょう。
パワハラかどうかは立場や当事者の気持ちなどで変わってくる部分がありますが、困った時は一人で抱え込まずに専門家の助けを借りることをおすすめします。

社員の行動を監視する企業は多いものですが、業務の範囲を超える監視や詮索はパワハラになる可能性が高いと言えます。
もし職場で異常な監視や上司からの嫌がらせなどパワハラに該当するようなことがある場合には、弁護士やNPOなどに相談してみてください。