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パワハラ上司を管理する会社に責任はあるのか?

2021.04.26

パワハラ防止法によってパワハラの減少を期待していても、パワハラはなかなか減らないものです。
上司に良い顔をしているものの部下にはパワハラを行うことで会社にパワハラをバレないようにしているケースもあれば、会社がパワハラを黙認しているようなケースもあるでしょう。
従業員の管理責任は会社にありますが、パワハラが起こった場合は会社に責任は生じるのでしょうか?

パワハラが発生すれば会社にも責任が生じる

上司からパワハラを受けた場合、その上司に対して責任追及することができると考える方は多いでしょう。
もちろんパワハラが事実であれば、会社に上司のパワハラを訴えることで上司を懲戒処分など何かしらの処分や対策を期待することができます。
しかし、パワハラ上司だけではなく、その上司を管理する会社にも責任が生じます。
会社がパワハラ行為を知りながら放置していたような場合には、会社も責任が問われるのです。

パワハラによって会社が負う責任とは

会社が負う責任は、「使用者責任」や「安全配慮義務」「職場環境配慮義務」等が挙げられます。
会社には管理する従業員の不法行為については同様の責任を負うべきであるという「使用者責任」というものが民法715条によって定められています。
そのため、パワハラが発生した場合には会社もパワハラをした従業員と同じように責任が生じるのです。
また、会社は労働者を危険から保護するために配慮するという「安全配慮義務」や、労働者が快適に仕事をできるように環境を整えるという「職場環境配慮義務」に違反していることになります。

パワハラ防止のためにできること

会社は従業員との間に労働契約を結んでおり、従業員が快適かつ安全に働けるように職場環境を良好に維持するためにパワハラ防止策を講じなければなりません。
また、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が成立したことで、パワハラの帽子が企業に義務付けられるようになりました。
大企業では2020年6月より施行されており、中小企業では2022年4月より施行されます。
そのため、会社側はパワハラ防止のために十分な措置ができているのか確認する必要があります。

パワハラが起これば会社側にも責任が生じ、従業員は会社に対して労働審判を申立てることができます。
もしパワハラを受けた従業員が会社を訴えてきた場合には、弁護士に法的アドバイスや訴訟の対応を依頼するようにしましょう。